ジムノペディに乱れる

 【CINEPO.com】のスタッフさんから、「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」について何か書いてくれと言われたので、とりあえず1本目を見た感想を記してみたい。

 大阪では梅田のシネ・リーブル梅田さんで、1月28日から順次封切が始まった。
 トップバッターは、行定勲監督による『ジムノペディに乱れる』。
 正直、行定監督の起用が日活から発表されたときは驚いたが、あまりにもロマンポルノらしくまとめられていたので、さらに驚いた。いや、ロマンポルノらしくというより、成人映画らしくと言うべきか。行定監督はいろいろと成人映画というものをご覧になっていたのだろうか…。

 成人映画らしいというのはどういうことか。それは徹底的に男の視線で、男の都合で、SEXを巡るドラマが描かれる作品が多々あったことだ。
 成人(ピンク)映画なので、主演は女性である。ポスターも主演女優が単体でポーズをとっているのがほとんどだ。俳優のクレジットも、当然女優が優先で、主役、準主役のポジションはすべて女優さんだ。でもってその作品を見ると、最初から最後まで男が主役で、男の視線、都合でストーリーが進んでいく、そんな作品がものすごく多かった。つまり、宣材物と中身がまったく一致していないのだ。きっと現場では、これって完全に男視線ですよね、いいんでしょうかこのままで、といったような会話がきっと何度も交わされたのに違いない。監督も男だ。脚本家も男だ。プロデューサーも男だ。そして見に来る客も、99%男だ。だからそれでいいんじゃない? そういうスタンスで何作も何作も作られてきたのが、ロマンポルノであり、ピンク映画であったということだ。
 で、本作。これまた見事に、男の視線。男の都合で、ストーリーが展開していく。板尾創路演じる、売れない映画監督は、かつて何度も何度も描かれてきた、どうしようもない、女を抱くことでしか自分の存在を証明できないような男だ。そこが、ロマンポルノらしくって驚いたということなのだ。懐かしいって言ってしまえば、貶し言葉になってしまうかもしれないが…。
 でも、やはり、当時と今は時代が違う。こんな男を見て、今の女性たちは共感できるのか?
 ぼくは男だし、ロマンポルノを見たことのある世代なので、懐かしいという言葉もありなのかもしれないが、今の(男性も含めて)観客の皆さんはどう思うのだろう。それが妙に気になって仕方がなかった。
 ただ、作品としては素直に面白いと思った。それははっきりと明記しておかなければならないだろう。特に女優陣の頑張りは、初期のロマンポルノの名女優たちに通じるものを感じた。いい作品にしたいという、意気込みだ。

 最後に、タイトルがいい。見終わってしばらくしてから、あっ、そういう意味なんだと、すべてに納得した。
 でも「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」なんだから、もう少し「らしい」タイトルに出来なかったんだろうかという願望も残る。ロマンポルノって、名タイトルの宝庫だからな~。

                                                フリーライター  宇喜多洋平
 
 

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